▼ レビュー
たとえ成功を手にしても、現状に満足できなかったり、地位を失うことを恐れたり、燃え尽きたり、家族や健康を犠牲にしたりと、むしろ不幸の種をまいてしまっているというケースはめずらしくないだろう。本書は、成功の裏側にあるそんな実態に目を向けたもので、安易な成功本のブームに一石を投じる内容である。
著者はみずからのコンサルタント経験を交えながら、米国で成功者と目されているビジネスパーソンの事例を多数集め、じつは彼らがさまざまな代償に苦しんでいることを浮き彫りにする。そこには、成功したまさにその理由によって失敗する「成功のパラドクス」があるというのだ。ここに孤独や葛藤などのリーダーにつきものの不安定な内面が、じつによく描き出されている。
しかし、だからといって著者は、成功よりもっと別のなにかを追い求めよというのではない。本書で説くのは、「成功のパラドクス」を克服して、より長期的な成功を手にする方法である。具体的には、自分では隠そうとしているパーソナリティーであり、人生を大きく脅かすという「シャドウ」を観察し、それを活用し、人生を見つめ直す作業を指南する。ベースには心理学を置いているが、「棚卸し」「捨てる」「充電」「儀式」「自己のメンテナンス」などの馴染みのあるキーワードで自己変革や再生を支援してくれる。
成功と人生をめぐる著者の実践的な哲学と人物事例の検証は、非常に読みごたえがある。なかでも壁にぶつかった状態からの再生の視点や「組織のシャドウ」などのリーダー論にはヒントが多い。より確かな成功をつかみたい人や、メンタル面の危機管理をしたいリーダーなどは必読といえよう。
▼ カスタマーレビュー
▼ 涙がこぼれた
おすすめ度 :
★★★★★
人間は誰でも、自分の中に認めたくない側面を持っている。そのダークな側面に目を背け続けていると、人生は必ず崩壊する。本当の幸せを手に入れるためには、ダークな側面を自ら認め、それとうまく付き合い続けなければならない。本書には、その具体的な方法が記されている。
いつも満たされていない気持ちに支配されていた私は、本書を読みながら、いつの間にか涙をこぼしていた。もう一人の自分の悲鳴が聞こえ、本当の苦しみを理解する事ができた。手遅れになる前に本書に出会えた事に感謝している。
幸せな人生を歩みたい人は、本書を手に取ることをお薦めする。
▼ 成功ブームにあきあきしていた
おすすめ度 :
★★★★★
成功が謳われた本が書店をにぎわす中、おおっぴらに成功の裏側を告白している。
よくぞ、10年以上も埋もれていた原書を掘り出してくれたものだ。
▼ 印象に残る本
おすすめ度 :
★★★★☆
「成功」とは何かについて考えさせられる本です。
普段我々が「成功」を語るとき、それは単に自分の所属する組織や社会通念によって定義されたものに過ぎないのかもしれません。本書は、自分にとって真の「成功」を勝ち得る人を「長距離勝者」と表現し、そうなるためには日々の雑音から離れ自己の内面を見つめる「充電」のための時間が必要と説いています。
同じ内容を表現を変えて繰り返しているところも多々あり、全体的にやや冗長な感もありますが、逆にそれが本書の内容を表層的にではなく感覚的に理解させる効果があるようにも思われます。
印象に残る一冊でした。
▼ 今後について考えてしまいました
おすすめ度 :
★★★★★
とてもおもしろい本です。
事業に成功した人が必ずしも人生の成功をおさめるわけではない。と著者は言っています。
読み進めていくうちにその理由、経過がわかります。その実例も多数ありますので、参考になる方も多いのではないでしょうか。後半はお待ちかねの予防、対処法が書かれています。
言われてみれば知っているものもありますが、その効果がビジネスに結びつくことを示している点までは考えがつきませんでした。
私はこの本を手元におき、今後も何かあるごとに参考にしながら人生の幸せを追求していきたいと考えるまで至りました。一度読んで見る価値はあると思います。